ベジファーストは本当に痩せる?
公開日: 2026年10月3日
「野菜から先に食べると太りにくい」「血糖値が上がりにくくなるから、ダイエットにもいい」。そんな話を聞いたことがある人は多いかもしれません。
食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」については、食後の血糖値やインスリンの上がり方を変える可能性が研究されています。
では、ベジファーストを続ければ、本当に体重も減るのでしょうか。
ここでは、「血糖値への効果」と「体重が減る効果」を分けて考えてみます。
この記事のポイント
- ベジファーストには、食後の血糖値やインスリンの上がり方を緩やかにする可能性があります。
- ただし、「血糖値が上がりにくい」ことと「吸収されるカロリーが減って痩せる」ことは別です。
- 体重を考えるなら、食べる順番だけでなく、実際の摂取エネルギーと毎日の歩数にも目を向けることが大切です。
そもそも「ベジファースト」とは?
ベジファーストとは、一般に、ご飯やパン、麺などの炭水化物より先に野菜を食べる方法を指します。
研究では、野菜だけでなく、たんぱく質などを炭水化物より先に食べる方法も調べられています。
このように炭水化物を最後に食べる方法は「カーボラスト」と呼ばれます。
ベジファーストと似ていますが、カーボラストは「野菜を先にする」ことよりも「炭水化物を後にする」ことに注目した考え方です。カーボラストについては、別の記事で詳しく取り上げます。
食後血糖には、どんな効果がある?
ベジファーストについて比較的多く研究されているのが、食後血糖です。
2026年に発表された18件のランダム化比較試験をまとめたメタ解析では、野菜を炭水化物より先に食べた場合、食後30分・60分の血糖値とインスリン値が低くなる傾向が示されました。一方、120分後の血糖値とインスリン値は対照条件より高く、エビデンスの確実性は「非常に低い」と評価されています(Kampmann-Gongoll et al., 2026)。
少なくともこの結果は、「糖が体に入らなくなった」という単純な解釈とは一致しません。つまり、ベジファーストには食後血糖への効果が期待される一方、誰にでも確実に同じ効果が出るとまでは言えません。
では、「ベジファーストをすると痩せる」のか?
ここで注意したいのが、食後血糖への効果と、長期的な体重減少は別の話だということです。
2023年に報告された試験では、過体重または肥満で前糖尿病の成人45人を対象に16週間の食事指導が行われました。「炭水化物を最後に食べる」指導を受けたグループでは平均3.6ポンド(約1.6kg)、通常の栄養指導を受けたグループでも平均2.6ポンド(約1.2kg)体重が減りましたが、両グループの体重変化に有意な差はありませんでした(Shukla et al., 2023)。
この試験は45人を対象としたパイロット試験であり、この研究だけで長期的な体重減少効果を結論づけることはできません。
以上を踏まえ、本記事では、食後血糖への効果と、食べる順番だけによる長期的な体重減少は分けて考えます。
「血糖値が上がりにくい=吸収カロリーが減る」ではない
ベジファーストについて誤解しやすいのが、この点です。
Ferguson & Wilson(2023)の系統的レビューでは、同じ食品を使った等カロリーの食事で、順番だけを変えた急性試験も扱われています。そこでは、食べる順番によって食後の血糖値やインスリン値などに違いが見られています。
一方、これらの研究が主に評価したのは食後の血糖値・インスリン値などであり、吸収される総エネルギー量の減少を示したものではありません。したがって、この結果だけから「500kcalの食事が、ベジファーストにすると450kcalしか吸収されなくなる」と解釈することはできません。食べる順番によって、胃から腸へ食物が移る速さやホルモン反応などが変わり、食後の血糖反応が変化する可能性が考えられています。
「血糖値が上がりにくい」ことは、「吸収される総エネルギーが減る」「その結果として体重が減る」ことと同じではありません。 食後反応を調べた研究と長期的な体重変化を調べた研究を踏まえ、本記事ではこのように整理します。
一方、野菜を先に食べることで満腹感が変わり、結果として実際の食事量が減るのであれば、摂取エネルギーも減ります。ただし、同じレビューでは食欲や満腹感について研究結果は一貫しておらず、「ベジファーストをすれば必ず食事量が減る」とは言えません。
体重を減らしたいなら、「食べる順番」より何を見る?
ベジファーストを「○○歩分」と換算することはできません。ベジファーストによって1日に何kcal分の減量効果が生まれるのか、現在の研究から信頼できる数字を出せないためです。
一方、歩いたことで増える消費エネルギーなら、おおよその量を見積もることができます。
KN002「1日1,000歩増やすと消費エネルギーはどれくらい変わる?」では、1歩70cmとして計算した代表例として、追加消費を次のように紹介しました。
- 体重60kgなら約22kcal
- 体重70kgなら約26kcal
- 体重80kgなら約30kcal
もちろん、これは「ベジファーストより1,000歩の方が効果が大きい」という比較ではありません。
大切なのは、歩数なら実際の変化を測れることです。
食べる順番の細かな違いだけを気にするより、今日は何歩歩いたか、平均してどれくらい食べているか、その結果、体重はどう動いているかという数字を見ることも、体重管理のひとつの方法です。
まいにちウォークでは、どう考える?
「まいにちウォーク」の体重モデルは、基本的に、摂取エネルギー − 消費エネルギーというエネルギー収支から、長期的な体重の変化を考えます。
ベジファーストそのものを表す設定はなく、血糖値やインスリン、GLP-1なども直接は扱いません。
その代わり、ベジファーストなどを始めた結果、実際の平均摂取エネルギーが変わった、あるいは毎日の歩数が変わったのであれば、その変化を体重の試算に反映できます。
たとえば平均摂取エネルギーが2,000kcal/日から1,900kcal/日に変わったなら、計画タブの「摂取エネルギー」でその変化を試算できます。8,000歩/日から9,000歩/日へ増やした場合も、歩数の変化として直接反映できます。
つまり、まいにちウォークは、「ベジファーストだから何kg痩せる」と計算するのではなく、生活を変えた結果として実際に変わった摂取エネルギーや歩数を見るという考え方です。
なお、計画モデルでは摂取エネルギーの10%を「食事誘発性熱産生」として扱っています。
これは食物の消化・吸収・代謝に身体が使うエネルギーであり、「食べたカロリーの10%が吸収されない」という意味でも、ベジファーストの効果でもありません。 現在は10%の固定値として扱っています。
カーボラストはベジファーストと同じ?
ベジファーストが「野菜を先に食べる」ことに注目するのに対し、カーボラストは炭水化物を最後に食べることに注目します。
そのため、野菜だけでなく、肉、魚、卵などを炭水化物より先に食べる方法も含まれます。
食後血糖などへの研究も多いため、カーボラストについては別の記事で詳しく紹介します。
まとめ — 食べる順番だけでなく、「変わったもの」を見る
ベジファーストには、食後の血糖値やインスリンの上がり方を変える可能性があります。
本文で紹介した研究を踏まえると、「血糖値が上がりにくい」ことは、「吸収される総エネルギーが減る」「その結果として体重が減る」ことと同じではありません。
現在の研究では、食べる順番だけを変えることで長期的にどれだけ体重が減るのかは、まだ十分に分かっていません。
ベジファーストを実践するなら、それだけで痩せると考えるのではなく、実際の食事量、毎日の歩数、体重の平均がどう動いているかといった数字も一緒に見てみると、生活の変化をより客観的に捉えられます。
「何を先に食べたか」だけでなく、「その結果、何が実際に変わったか」を見る。
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まいにちウォークで、歩数と体重の変化を振り返る
「まいにちウォーク」では、毎日の歩数と体重を記録し、7日平均や長期的な体重の変化を確認できます。
計画タブでは、平均的な摂取エネルギーや歩数を変えた場合の体重変化も試算できます。
実際に生活を変えた結果、歩数や体重がどう変わったかを振り返るために活用できます。
iOS版 App Store参考にした情報
- Kampmann-Gongoll K, et al. Effect of eating vegetables before carbohydrates on glucose, insulin and glycemic control - A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Clinical Nutrition. 2026. doi:10.1016/j.clnu.2026.106775.
- Ferguson BK, Wilson PB. Ordered Eating and Its Effects on Various Postprandial Health Markers: A Systematic Review. Journal of the American Nutrition Association. 2023. doi:10.1080/27697061.2022.2161664.
- Shukla AP, et al. A Randomized Controlled Pilot Study of the Food Order Behavioral Intervention in Prediabetes. Nutrients. 2023;15(20):4452. doi:10.3390/nu15204452.
本記事で紹介した研究には、前糖尿病や糖尿病など特定の集団を対象にしたものも含まれます。研究結果がすべての人に同じように当てはまるとは限りません。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療や個別の医療判断を目的とするものではありません。